
こんにちは。島の人事部・広報担当のぽっぴんです。
2025年10月27日、県立洲本実業高校の2、3年生を対象に「働くって、どういうこと?」をテーマにした座談会が開かれました。島の人事部の参画企業経営者ら計7人が登壇し、“車座”になって高校生からの質問に真正面から回答!
なおこのレポートでは、高校生と対比して、この7人のことは〈大人〉と呼ばせていただきます!
互いに普段はほとんど接することのない立場の者同士。
まっすぐな視線を送る若者と、少し緊張した面持ちの大人たちが交わった現場の様子をお伝えします!

◼️「働く」のホンネトーク
今回は、いわゆる「企業説明会」とはまったく別物。
大きな会場にずらっと並ぶ企業ブース、ではなく、学校の1室でいくつかの小さな円になって話を聞く座談会スタイルで開かれました。
この座談会を主に企画してくれたのは、大阪大学の「高大連携教育団体SUIT」のお二人。
SUITは、「大学生とつくる、新しい学びの場」を 理念に掲げ、高校生と大学生が主体的に関わる「新しい高大連携」の実現を目指して活動されていて、今回もその一環でわざわざ来島して当日のファシリテーションまで勤め上げてくれました。
島の人事部は、この活動に賛同して、共同企画。参画企業の経営者さんを伴って一緒に参加させていただきました。

出席した大人たちは
-
石田幸次朗さん(石田金型製作所)
-
岡田将武さん(岡田シェル製作所)
-
金岡秀幸さん(飲食業やWeb制作事業など)
-
北坂勝さん(北坂養鶏場)
-
福井宏昌さん(株式会社LIG・NPO法人MUKU)の経営者ら5人と
-
組織開発などに詳しいKOHさん
-
島の人事部プロマネのありりん(淡路市地域おこし協力隊)の計7人。
高校生が明るい声を響かせながら入室してくると、普段接することのない「若さ」に押されてなのか、大人たちが少し緊張した面持ちになっていたのが印象的でした(笑)。
今回の座談会では、大人1人を高校生約10人が輪になって囲み、グループごとに配られたいくつかのカードを元に質問をしていきます。
-
これまでで最大の失敗談は?
-
今後のキャリアでやりたいことは?
-
高校生のうちにやっておいた方がいいこと。
-
淡路島で働くことの良さ。
-
どんな人が会社で活躍できる?

最初はかたかった空気も、会話を通して少しずつほぐれていきます。
そんな空気感の中で大人が高校生に届けた言葉の一部をご紹介します。
「僕はお金でかなり失敗を重ねてきた。でもそれは全部、近道をしようとしてたんだなと、今は思うんよね。その時はちゃんと向き合っていたつもりだったけど、焦って、判断が正常にできていなかったなと、今なら思える」
「言われたことだけじゃなくて、常に自分で考えて行動できる人が、活躍できるんじゃないかな。あとは、相談できる人。」
「島で働いていると、人と人との距離が近い。都会では、仕事でしか付き合いがない人とか、所属するコミュニティーがない。島は仕事を飛び越えて色々な人と関わることができるから、公私ともに充実したライフを送ることができるかな」
大人からの応答に、高校生たちはうなづきながらメモをとる。そして少しずつ、笑顔や自発的な質問も飛び交うようになり、場がどんどん温まっていきました。
高校生たちは、普段なかなか大人、それも企業の経営者とは話すことがない中で、「働く」ということについてイメージを作り上げているようでした。




一通り話したあとは、スマートフォンで専用のオンライン掲示板に感想や学びになった言葉を投稿し、全体で共有しました。
・自分の考えに新しい彩りがつきました。
・信頼を失うのは簡単だけど、取り戻すのは難しい。信用の積み重ねが大事!
・自分が何者か分かったら、自由になる🗽
・チャレンジしないことが一番の失敗。
・淡路島にも意外と魅力があるんだなあ。
・仕事に対する考え方がいい意味で変わった。新しい視点を得られた。
別のテーブルで出た印象的な言葉や質問もスクリーンに映し出され、教室全体が一つの場としてつながっていく感覚がありました。



◼️経営者たちが感じた「難しさ」と「手応え」
座談会のあと、登壇したメンバー同士でふりかえりの時間を持ちました。
そこで出てきた言葉が、どれもとてもリアルで。その一部をご紹介します。

・「高校生の質問、ふか…!」
起業家の金岡秀幸さんは、「普通に楽しかった」と笑いながら、2年生から投げかけられたこんな質問が印象に残ったといいます。
「日々不安を感じた時に、どう行動していますか?」
「深い質問……!」と思って、一瞬、言葉が出なかったそうです(笑)。
それでもその後には金岡さんらしい素直で正直な答えが出てきていました。
「大人になっても不安なんていくらでもある。じゃあどうするんだっていうと、正直“やるしかない”っていう根性論みたいな答えになってしまうけど」と苦笑しつつも、不安の正体は“最悪の未来を勝手に想像してしまうこと”だと話し、「実際は、そこまでひどいことにはなかなかならない。だから思い切って動いてみてほしい」と伝えたそうです。
自分にも、高校時代にこういう大人と話せる機会があったら良かった、ともこぼしておられました。
・「正解を言うほど、つまらなくなる気がした」
北坂養鶏場の北坂さんは、普段接することのない世代を前にして「めちゃくちゃいいストレスをもらった」と振り返ります。
「大人として『正解っぽいこと』を言おうとすればするほど話がつまらなくなる気がして、そういうことじゃないよなと。いい会話ができたか、心をこめて答えられたかを、ずっと自問してたかな」
高校生にとって“いい大人”であろうとするほど、距離が生まれてしまう。そのジレンマの中で、北坂さんらしい等身大の言葉を探しながら話されていたことが伝わってきました。
・「情報量が少ない高校生に、どれだけ“景色”を見せられるか」
石田金型製作所の石田さんは、これまでも洲本実業の生徒と関わる機会があり、「中小企業といえど、いろいろな会社・働き方に触れることは、高校生にとって大きなプラスになる」と話します。
「自社だけじゃなく、少し引いた視点から“世の中ってこうなってるんやで”という景色を見せるのが、大人の役割かなと。
高校生って、まだまだ世間を知らない。でも、それは悪いことじゃなくて、伸びしろ。そこにどう関わるかを考えさせられました」
教えるという一方通行的な視点ではなく、伝えながら学ぶ。石田さんの真摯で真面目な姿勢が滲む言葉でした。
・「高校生との対話は、経営者にとっても“修行場”」
経営者のビジョンマップでおなじみのKOHさんは、「経営者を相手にするより緊張した」と笑います。
「どんなボールが飛んでくるかわからない。“今の奥さんとはいつ出会ったんですか?”とか、“モンスター従業員ってどうしました?”とか。その質問をどう普遍的な“気づきの話”に変えて返すかは、もはや合気道みたいでしたね」
とのことでした。KOHさんにも戸惑う瞬間があるとは!!笑

総じて、大人たちも、普段のワークショップとは少し異なる溌剌とした笑顔を浮かべておられたのがとても印象的でした。
大人にとっても高校生にとっても、
教えながら学ぶ
学びながら教える
そんな相互作用的な場所になったのではないかと思います。
・先生が見ていた“もう一つの風景”
洲本実業の先生は、今回の企画をこう総括してくれました。
「教室会場は一見、会社の“合同説明会”のような雰囲気にも見えますが、実際に始まってみると『地元の高校生たちにいいものを残したい』という、大人たちの思いがぎゅっと詰まった時間になっていた。
先生以外の大人が、本気で話してくれる貴重な機会。
何が刺さるかは、生徒一人ひとりで違う。必ず全員のどこかに、何かが残っていると思います」
◼️「等身大」が未来を変える。
地元の企業で働く人たちの声を、同じ島で育つ高校生が聞く。
しかも大きな会場で決まったタイムスケジュールの中で、ではなく、小さなグループで、自由闊達に。
それは「求人票」や「会社紹介パンフレット」からは決して伝わらない、“人の温度”に触れる時間だったのではないかと思います。
この座談会は、進路選択の答えを用意する場ではありませんでした。
ただそれでも、これからに迷いを抱いている高校生にとって、経営者が等身大の自分や過去を披露することで、一つの救いになった場面もあったのかもしれません。
島の人事部としても、この取り組みを単発で終わらせるのではなく、少しずつ形をブラッシュアップしながら続けていけたらと思っています。
働くって、どういうこと?
その問いに、すぐに答えを出す必要はありません。
でも、いつかそれを見つけようとしたときに、「あの日出会ったあの大人の言葉」を、ふっと思い出してもらえたら。
今回の座談会は、そんな〈未来への種まき〉の時間だったのかもしれません。

