こんにちは、島の人事部広報担当のぽっぴんです。
2026年8月26日、島の人事部は高校生向けキャリア教育プログラム「AWAJI COMPASS」を開催しました。
淡路島内の高校生3人と大学生インターン1人が参加してくださり、朝から夕方まで、地域で働く大人たちに会いに行きました。
実際に島で暮らし働く大人の話を聞くことで、高校生は何を感じたのか。
じんわりと、静かにひらめいた彼らの様子をお伝えします。

目次
- ■ 「どんな会社か」じゃなくて、「なぜその仕事をしているのか」
- ■ 丁寧な仕事に感銘。@淡路麺業
- ■ 不動産を通して島の暮らしを見つめ直す。@不動産アイル
- ■ 20歳の自分へ、手紙を書く
- ■ Next Actionを考える。
■ 「どんな会社か」じゃなくて、「なぜその仕事をしているのか」
AWAJI COMPASSは、単発のインターンシップではありません。
一度島外に出た若者が、また島とつながることができる「リターンシップ・コミュニティ」をつくっていくための、最初の一歩に位置づけています。
大切にしているのは、「どんな会社か」ではなく、島の人々が「なぜその仕事をしているのか」「どんな想いで働いているのか」に焦点を当てること。
プログラムの最初に、高校生自身が「今、自分が一番モヤモヤしていること」を、その日一日をかけて向き合う“問い”としてホワイトボードに書き出します。
旅の中で出会う、生き生きと地域で働く大人たちの生き方や価値観に触れながら、その問いに対する自分なりの答えやヒントを探す。
そんな1日です。

■ 丁寧な仕事に感銘。@淡路麺業
まずは、淡路麺業株式会社(=ダンメン、淡路市生穂新島)を訪問。
生パスタづくりを実際に体験しながら、ものづくりの手順や難しさを肌で感じます。工場見学では、正確さと衛生管理が徹底された現場を目の当たりにしました。

その後は、出雲文人社長やマーケティング担当の社員さんたちを交えたトークセッション。
働きがいや、ダンメンで働く理由、失敗エピソード、そして高校生の自分へのアドバイスまで、率直に語り合う時間になりました。
なかでも印象的だったのが、出雲社長の「淡路島は、東京とアフリカのちょうど中間くらい」という言葉。
「アフリカは、お金がなくても『お腹が減った』といえば、食べ物が出てくる。都会にはない、おせっかいで慈悲深く分け合う文化がある。淡路島は、そのちょうど間。独特の良さがあるんだよね」
そんな社長の言葉に、改めて地元の魅力を発見したように、高校生は深くうなづいていました。

■ 不動産を通して島の暮らしを見つめ直す。@不動産アイル
午後からは、株式会社ツーワン「不動産アイル」(淡路市志筑)を訪問。
(ぽっぴんはここから取材に入りました)
まず横山奈津紀社長から、地元の不動産事情について話を聞きました。
淡路島は東と西で気候が大きく異なり、地価にも差があること。
移住者の多くは住むなら東、新たなお店を構えるなら西が選ばれやすいこと。
神戸への近さやほどよい田舎らしさ、そして「熊がいないこと」までもが、移住先として選ばれる理由になっていること。
丹波篠山や和歌山、滋賀といった移住先候補との違いも交えながら、リアルな不動産の話が続きました。

その後は、ワークタイム。
お題は「架空の家族に、島の不動産をプレゼンする」。
30代の夫婦と3歳の子どもという家族を想定し、実際の物件情報4件(志筑の戸建て4LDK/尾崎のログハウス2LDK/岩屋の戸建て1LDK/育波の戸建て4DK)から1つを選び、提案します。

高校生チームが選んだのは、志筑の戸建て。
「学校やイオンが近くて、山も海も見える。都会すぎず、田舎すぎない」「子育てにも公園にも向いている」という理由でした。
そして、プロも志筑を第一候補にご提案。
もちろん正解があるわけではないという前提ではあるものの、「子育て世代が多く、学校や病院も近い。思いっきり田舎暮らしをしたい人には物足りないかもしれないけれど、少し足を延ばせば自然もある」とのことでした。
そして続けて、「じゃあ、自分だったら?」というワークにも挑戦。
自分が30歳になったとき、どんな暮らしをしていたいかを、一人ひとりが考えます。
架空の家族に最適な暮らしのあり方を考えた後だからこそ、自分ごととして暮らしについて考えられるタイミング。
どんな場所で、誰と、何を大切にして、暮らしていたいか。
そんな、考えたことがありそうで、なさそうな、それでいてとても根本的な未来のかたちを書き出していきます。
「島の様子が今と変わらなければ、淡路島に住みたい」という声もあれば、
「明石で、子どもに関わる仕事をしながら暮らしたい」
「地元・鹿児島の離島で、自然の中で暮らしながら地域の魅力を発信する仕事がしたい」
「今と同じ淡路市の塩田地区に住んで、地域を盛り上げる仕事がしたい」という声も。
それぞれが大切にしている価値観や、それに基づいて思い描く暮らしの輪郭が、少しずつ見えてきた時間でした。


■ 20歳の自分へ、手紙を書く
夕方、淡路ラボに戻って振り返りの時間。
各自で「今日考えたいこと」と大切にしたい「価値観」を書き出したホワイトボードに、訪問した2社での学びを書き足して、それらをリンクさせて新たな気づきを見つけにいきます。
農業に興味があるという生徒は、淡路麺業も不動産アイルも「地域とのつながり」を大切にしていることに気づき、自分が農業をやりたい理由も「地域を盛り上げたいから」だったと思うようになったと言葉にしました。

子どもに関わる仕事を考えているという生徒は、保育士以外にも子どもと関わる仕事があると知り、「なるようになる」「失敗を恐れずに挑戦したい」という価値観にたどり着いていました。
インターンの大学生は、訪問先で見聞きした言葉から「やっぱり自分も地元が好きだ」と改めて感じ、「私も誰かの考えが変わる瞬間を提供する側になりたい」と話しました。
洲本高校の生徒が「今日考えたいこと」に挙げていたのは、家業を継ぐか自分の道を進むか。この日、地元を出てUターンした経営者の話を聞き、「もっと社会について学び、たくさんの人と関わりながら自分の環境を変化させていきたい」と、問いの答えのヒントになる発想を得たとのことでした。

そしてこの日の大一番。
20歳になった自分への手紙を書く時間です。
今日という1日を振り返って、今の気持ちや状況、未来の自分への労いや励まし、問いかけを綴ります。
この手紙は、赤いタイムカプセルに封印!
それぞれが20歳になるタイミングでその時の住所や実家に届けられる予定です。
静かに手紙と向き合う一人ひとりの真剣な眼差しが、それぞれの将来への希望や熱、反対に不安や悩みをも物語っているようで、見ているこちらまで力をもらう時間でした。



■ Next Actionを考える。
締めくくりとして、今日感じたことをもとに、それぞれ次に踏み出したい一歩を考え、シェアしました。
「これまで色々な選択肢を思い描いていたけれど、淡路島を一度出て戻ってくるのが一番いいかもしれないと思った。親や先生の話も聞きながら、自分で決めていきたい」
「自分を見つめ直すきっかけになった。やりたいことはまだ決まっていないけれど、いろんな仕事を見て決めていきたいと思えた」
「今日のことを生かして将来を見据えた上で、まずは大学に行くか専門学校に行くかを決めたい」
「自分の強みと足りないところが見えた。選択肢を広げながら、たくさんインプットしていきたい」
それぞれの言葉から、今日という1日が、これから進みたい方向への確かな羅針盤になったことが伝わってきました。

運営を担った和歌山大学4年生で、元島の人事部大学生インターンのひかりちゃんから、最後にメッセージ。
「すごく疲れたと思うけど、将来に生かせる気づきがあったら私たちも嬉しいな。私たちにとっても、いい1日でした。今日のご縁が、これからも続いていく縁であってほしい。
私自身、去年の冬にこの企画を実施したいと自ら手を挙げて、今日に辿り着けた。手を挙げたら、たくさんの大人が関わってくれて、こんな形になった。だから、みんなもやりたいことがあれば勇気を出して手を挙げてみたら、意外と多くの人が助けてくれる。
そして私もその1人でありたいと思っているので、みんなの将来を応援しています」

私たちが目指しているのは、正解を教えることではありません。
地域で生きる大人たちに出会い、その生き方に触れることで、自分自身の人生や地域との関わり方を、自分の言葉で考えられるようになる。
今日出会った「問い」、「自分なりの答え」、「それにつながるヒント」などなどが、
それぞれの5年後、10年後にどんな形でつながっていくのか。
20歳になった生徒たちが、きょう書いた手紙を読み返す日を、私たちも楽しみにしています。
参加してくれた高校生・大学生のみなさん、あたたかく迎え入れてくださった淡路麺業、不動産アイルのみなさん、本当にありがとうございました。

Writer
ぽっぴん
滋賀県出身。
読売新聞で新聞記者として勤務した後、独立して現在はフリーのフォトグラファーでライター。関西を中心に色んな写真を撮ったり、文章を書いたりしています。好きな食べ物は「ばーちゃんの手作りカレー」。
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