こんにちは、島の人事部広報担当のぽっぴんです。
9月16日、島の人事部の参画事業者(&ゲスト)の皆さんと一緒に、恒例の「経営者向けワークショップ」を開きました。
今回の目玉は二本立て。
前半は「まぜそば まるきん」をはじめ、自動車販売、Web制作、システム開発など複数の事業を手がける起業家・金岡秀幸さん(33)のビジョンマップ!
ファシリテーターはおなじみKOHさんです。
後半は、その金岡さんから話題を提供していただき、「従業員のエンパワーメント」をテーマに、参加者全員でディスカッションしました。
ディスカッションは、終了の合図が聞こえないほどの熱量にまで至り、とても深くそれぞれを知り、内省する時間になりました。
現場の空気感ごと、じっくりお届けします。

◼️チェックイン!
ワークの前に、まずは肩の力を抜くチェックイン。
「呼ばれたい名前」「今の気持ち」「何歳に戻りたいか」。たわいないようでいて、それぞれの人生観が滲みます。
「金岡さんのことを知れるのが楽しみ。戻るなら二十歳かな。一番おもろかった時期やし」
「今は決算書見終えてほっと一息。僕は23歳に戻りたい。修士1年で車であちこち走り回ってた」と楽しげな思い出を振り返る人もいれば、
「中学1年に戻りたい。もうちょっと勉強しておけば…」と苦笑いする人も。
ここでゆるんだ空気が、そのまま場の土台になる。良い意味で構えないからこそ、深く話すことができる。
いつも通り、幸先よくスタートです!
▶︎「動的知性」を知る。
ここで、ファシリテーターのKOHさんによる短いレク。
テーマは「動的知性」。

「土の時代から風の時代へ、とよく言うけれど、今は何もかも流れがとても速い。動的知性とは、そんな流れの中で生きていくための力のこと。
そして大事なのは、“流れの中に秩序が生まれる”ということ。
つまり、『流れが先で、構造が後』。
簡単に真似できる“構造(=うまくいく手法や型)”から入ると、かえって流れは滞る。自分が本当にやりたかったことを見失ってしまうんですね。
だから、まずは自分が本当に話したいことを話す。本当にやりたいことをやる。本当に行きたいところに行く。
すると、散逸構造(流れの中に生み出されていく秩序)が自然と立ち上がってくるんです」
ちょっと文章にするのが難しくて、うまく伝えられているか自信がないですが、このお話をきっかけに、会場の「前のめり度」が一気に上がったのは事実。
そしてそのタイミングで、「じゃあ、かなやん。今から本当に喋りたいことを喋ってみて?」と金岡さんに話を振るKOHさん。ファシリマスターすぎる。
不思議な緊張感と緩みが同居する、めちゃくちゃいい空気感でWSが進んでいきます。


◼️前半:かなやんを徹底解剖
そうして話を振られた金岡さんは、少し照れた表情を浮かべながらも、リアルな感情を隠しませんでした。
「今、すごいもどかしいんです。
取り組んでいる事業は、どれも“伸ばす方法”は見えてる。ただ、それをやると、今でさえほとんどない自分の時間がもっとなくなる。
経営者なのに、会社の歯車になってる感じがしていて。
最近は『完全に会社に雇われてるサラリーマンやん』って思うこともある。子どもとの時間を増やしたくてやってるのに、全然その次元に辿り着いてない。
正直、起業当初の情熱やビジョンを見失って、『俺、何がやりたかったんやっけ?』って」
言葉は淡々としていて、だからこそ金岡さんの率直な思いが伝わってくる。会場の空気が少ししんとします。

そこでKOHさんはすかさず金岡さんの「過剰性(=異常値、天才性)」に光を当てました。
「前回のWSでかなやんのCxOはCFYO(Chief For You Officer)だった。人のために、ってところが強い。でもこれは変わる可能性があると思ってて。
かなやんの異常性は、人を観察し続けること。それで、勝てる戦略を無意識にシミュレーションし続ける。ここが才能。
ただ、その一方で、その才能を発揮して見えた「相手の喜び」につながる行動に寄りすぎると、自分の喜びから遠ざかることがある。だからパッションや目的意識が見えなくなっているのかも。
だから、変えていいんです、ラベルは。
その天才性を生かしたまま、FOR YOUでもありながら、でももっと自分のことを考えてもいい」
少し緊張した面持ちだった金岡さんは、KOHさんの洞察の鋭さに驚きつつ、少し、表情が明るくなったように見えました。


▶︎「理念がほしい」──“戻る場所”の必要性
金岡さんが起業に至るまでの道のりについてもお話があったのですが、それは近々公開予定の特集記事にてお披露目させていただきたいと思います!
なので、ここでは他の経営者さんたちからの質疑の一部をご紹介。
「創業当初はどんなビジョンだったの?」という質問に金岡さんは、
「何だったっけ?状態なんです。ワクワクで事業を立てたものの潰れるっていうのを何度か繰り返すうちに、『夢や目標を掲げたらあかんのちゃうか』って思ってしまって。見失ってるっすね。
だから今、会社の理念を作りたい。迷った時に戻れる指針みたいな。
自分だけじゃなくスタッフにも落とし込めるもの。そこからマネジメントも進むんじゃないかと思って」
と率直な思いを明かしていました。
別の人からの「まぜそばのオープン時の花輪の数がすごかった。多くの人から愛されてる証拠やと思った」との声には、
「でも従業員には“愛されキャラ”は通用しないんじゃないかな」と回答。
甘さのない現実認識が、自分に厳しいストイックさを表しているようでした。
◼️後半:率直な感情に誘発された言葉の応酬。
後半は、金岡さん自身が話題を提供し、場に火を入れます。
提示したトークテーマは「従業員のエンパワーメント」。
そんなテーマを挙げた理由について、こう語りました。
「特にまぜそばのスタッフは20歳前後の女性が多く、関わり方もわからなくて、マネジメントが難しいんです。
サラリーマン時代は管理職もやっていて、チームを目標未達ゼロで回してた。でもその時は、自分にマネジメントの型はなくて、ただただ怒らずに適度に声をかけていただけだった。
だから今、『俺ってマネジメント能力ないんちゃう?』って思い始めた。
人材がいてこそ会社が成長するとは思っているけど、その辺り、みなさんは、どうしてるんやろう?右腕をどう育ててるんやろう?と思って」
金岡さんの素直な言葉に、空気が一段と熱を帯びます。

そして、エンパワーメントのヒントになりそうなテーマとして、
「どんな“自分”として経営していますか?」
「毎日、自分に何て話しかけていますか?」
「どうやってモチベを上げていますか?」
この辺りについて、3人グループに分かれてディスカッションが始まりました。
初対面の人もいる中でしたが、スタート直後から議論は白熱。すぐにあちらこちらで笑いと、共感の声が上がり始めました。
そして10分後、議論終了の合図。
でもそれが聞こえないほど、言葉が飛び交い続けます。
身振り手振り、笑い、話者を見つめる視線、うなづき。
そこには、途切れることなく続く議論とともに、自分と、それぞれについての理解が深まっていくような表情がありました。

KOHさんが3回目の終了の合図を出してやっと、場が落ち着く。
こんなことは初めて。
みなさん、金岡さんの脳内に触れ、悩みに共感したからこその盛り上がりだったのではないでしょうか。
経営者WSは回数を重ねるごとに、場の熱量が上がっているような気がします。
そして、各々がディスカッションを経てまとまった考えを口にします。
ある経営者は、毎夜の“儀式”を明かしました。
「今も毎日お風呂で『人生の目的』を声に出して読むようにしてる。
自分の価値観も言語化しておいて、それを呪文のように唱えてます笑。もともと自分自身があまり欲のない人間だったので、これを読むことで、自己暗示をかけている感覚ですね」
またある後継者の方は、事業フェーズごとに“自分の目標”を更新してきたといいます。
「入った頃は従業員20人ほどだった会社をバリバリ頑張って120人まで伸ばした。その後にガバナンスの揺り戻しを味わい、90人に落ち着いて、大きい組織よりも、強い組織にしようと思って土台づくりに取り組んできた。これからはより多国籍な組織にしたい。
そして個人的なテーマとしては、息子が帰ってきたいと思える会社を作ることかな。それで自分は60歳になったらスパッと辞めて海外移住したい」
紆余曲折を経て今があり、それでもなお将来は潔く理想を貫こうとしている姿勢が、とても印象的でした。

別の経営者は、肩の力を抜くという選択肢を共有しました。
「事業所が増えて『一人では無理』って分かったとき、色々試したけど上手くいかなかった。そこで開き直って、自分を“マネジメントができないポンコツ”だと認めて、理想を声に出しながら、すでにいる人たちにもっと頼るようにした。
するとみんなの意識もどんどん変わっていって、組織が自走できるようになってきた。
まだまだハレーションも起きるけど、外部の人からは『従業員から好かれているね』って言われることが増えた。そこは、かなやんにも通じるところがあるんじゃないかと思う」
場内に長い頷きが広がります。「エンパワーメント」は技法の前に“態度”なのだ、と教えられる時間でした。
▶︎素の自分で、いいんじゃないか?
最後に金岡さんが「それでもやっぱり今は、店を立ち上げた時の理想とかが思い出せない」と口にした時、別の方がそっと言葉を添えてくれました。
「かなやんは従業員に対してももっと“素”でいいと思う。
“社長然”としてなあかんって思いすぎて、自分を檻に閉じ込めている感じがする。
それは本当の自分じゃない。もっとありのままを出していけば、みんな絶対好いてくれるし、お互いに働きやすく、働きたくなると思う。
僕も、世間に合わせて自分とは違う考え方や意識を持って働いていた時はしんどかったけど、『これは自分には合わん!』って開き直ったら、すごく楽になった。
だから、もっと楽にしたらいんじゃない?」
また別の方も続けます。
「最初のチェックインで、戻りたい年齢について『ない。後ろを見ないことにしてるから』って言い切ってた。
そうやって悩んでいる今の状況さえも前向きに捉えているのがすごいよ」
みなさんの温かな言葉に、僕でさえ、どこか救われるような感覚がありました。
そして金岡さんは皆さんに感謝を伝えつつ、こう締めくくります。
「そもそもどこで自分がつまずいているのか。現状を打破するための、問題の幹の部分をもう一回見つめ直したいなと思った」
ついつい他者の喜びを最重視しすぎていた視線が、ゆっくりと、少しずつ自分の内側にも向いていくような、そんな兆しを感じさせる言葉でした。

◼️胸の内をさらけ出す勇気と、それを受け止める温かさ。
「流れの中に秩序が生まれる」
言葉を置き換えれば、「話すのが先、やり方は後から立ち上がる」。
この夜のディスカッションは、まさにその実演だったのではないかと思います。
終了の合図が聞こえないほど言葉が止まらなかったのは、皆の中に多かれ少なかれの滞りがあって、金岡さんの実直な言葉をきっかけに、そこに風が通ったから。
最初に握っていた小さな火種は思い出せなくてもいいと思います。
思い出せたとしても、全く同じものに「戻る」必要も、もはやないような気もします。
人は常に変わっていくものだから。
今ココの自分を見つめて、そんな自分が理想とする火種をもう一度、静かに強く燃やしていく。
そんな道のりを、島の人事部は一緒に歩んでいきたい。そんな原点とも言えるような思いを、メンバー一同、強く感じたWSでした。
ここではそんな様子を、やはり現場の空気を最優先に、綴っていきます。
ありがとうございました!!

Writer
ぽっぴん
滋賀県出身。
読売新聞で新聞記者として勤務した後、独立して現在はフリーのフォトグラファーでライター。関西を中心に色んな写真を撮ったり、文章を書いたりしています。好きな食べ物は「ばーちゃんの手作りカレー」。
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