こんにちは、島の人事部広報担当のぽっぴんです。
今回は、島の人事部に参画してくださっている企業経営者向けのワークショップで実施している「ビジョンマップ(これまでは「脳内解剖」と呼んでいました)」というワークについて、その目的や意義についてあらためて書いてみたいと思います。
一人の経営者の価値観を、対話を通じて根本から丁寧にひもといていく、ビジョンマップ。
その実施者であるKOHさんに、そもそもどんな理念で、どんな目的を持って行われているのか、お話をおうかがいしました。

▶︎読んで字の如く、経営者の頭の中の“地図”を描くこと
まず、KOHさんがこのワークを説明するときによく言われる表現がこちら。
「脳内にあるモチベーションや情熱を、誰かに説明するために口に出したら、思ってた感触となんか違ってしまっていることってないですか?
胸の内を言語化すると、なぜか少しずれてしまう。なぜかうまく言葉に言い表すことができない、みたいな。
実はそれはよくあることで。
このビジョンマップの狙いは、そうした『言葉や数字になる前のエネルギー』とつながることを大事にしています」
なるほど。
また、「イメージしやすい例としては、曼荼羅(マンダラ)ですね。
離れて見ると、その人の全体像がわかる。どんどん近づいて個別に見ていくと、細かな価値観や思想が見えてくる。そんなイメージです」とも。
なるほどなるほど。
たしかにKOHさんが作成されたマップでは、その人の大きなスローガンのような言葉が一番上にあって、それを構成する個々の要素がそれぞれにまとめられています。

▶︎動的な価値観を表現する「雲」
では、KOHさんがこの手法を始めたきっかけは、なんだったのでしょうか。
それは、経営者が持つ「ビジョンへの道筋」を可視化したい、と思ったことだそうです。
「ある時、経営者の頭の中には、事業の先にある“達成したい未来”への道筋があるってことに気がついた。
その発想をもとに、目の前に見えている事業から、その先にあるビジョンまでの道筋を図式化して、みんなで共有すると、チームの視界が一気にそろうな、っていう感覚があった」
とのこと。
ただ、初期のマップは、ピラミッドやロジックツリーのような形で表現していたそうです。
「でも次第に、道筋があるとはいえ、経営者の思考ってもっと“動的”なんだと理解した。
道筋がはっきりとあるようで、ない。それぞれが絡み合って形を変えながら進んでいく。そんな動的なニュアンスを表すために、もともと使っていた線的な表現から、今の雲みたいな形に移っていったんだよね」
それが、先ほどぽっぴんの手描きで例示した現在のスタイルです。
明確な答えはなく、ひとりひとりの中にある揺らぎや流れを含めて表現する。
そこにビジョンマップの本質があるのだといいます。
▶︎「理解することが、愛」
KOHさん自身がこのワークを続ける上で、最も大切にしている感覚が「理解することが、愛」だということ。
そう思うようになったのには、きっかけがあったようで。
ある時、KOHさんは参加したワークで、「あなたにとって嫌な瞬間は?」と問われた。そこですぐに出た答えが「毎月の税金や年金の支払い」だったそうです。
別にそんなにケチなわけではないのに、なぜそれがパッと思いついたのか、自分でもすぐには判然としなかった。
でも、対話の中でご自身のその回答を掘り下げていくうちに、「自分は、払った税金の使われ方や国の仕組みが見えない、理解できないことが嫌なんだ!」と気づいた。
その瞬間、KOHさんの中で“自分にとって「理解すること」が、愛だ!”という確信が生まれたといいます。
「人を深く理解すると、自然と共振するし、共鳴する。そこから、共創が生まれる。いいコラボレーションにつながるな、という確信がある。
だから僕は、ビジョンマップをしているんです」
表面的なコミュニケーションではなく、相手の心の奥にある価値観や動機に触れること。
そうすることで、互いに理解が深まり、よりよい関係・共創につながる。
それが、KOHさんが「ビジョンマップ」を通して実現したいことなのです。
▶︎共創は、「開かれた窓」から生まれる
そんなビジョンマップをより論理的に説明する際に、KOHさんは「ジョハリの窓」という心理学のフレームワークを使うそうです。
ジョハリの窓は、自己理解と他者理解を深めるための心理学モデルです。「開放の窓」「盲点の窓」「秘密の窓」「未知の窓」の4つに自己を分類し、他者からのフィードバックや自己開示を通じて「開放の窓」を広げることで、信頼関係の構築やコミュニケーションの改善につながります。自分でも気づかない強みや課題を発見しやすくなり、人材育成や企業研修の場でも広く活用されています。相互理解を深める有効な手法です。
https://www.kaonavi.jp/dictionary/johari/

KOHさんは、この「自分も他人も知っている領域(開放の窓)が広がると、共創が生まれやすくなる」といいます。
ビジョンマップによる自己開示と、それを聞いた周りからのフィードバック。
ビジョンマップは、この“開放の窓”をチームで広げていく作業でもあるのです。
さらにこのワークでは、KOHさんとの対話や、周りからのフィードバックを通じて、自己開示と自己理解が同時に起こる。
これまでにこのワークを実際に受けたことがある方によると、「だからこそ常に行動し続けている経営者に、効く」とのこと。
開放の窓だけでなく、盲点の窓と秘密の窓も、ググッと広がることで、「自分ってこういう存在だったんだ」と新たな発見があるそうです。
だからビジョンマップは、深い部分に眠っていた自分を見つけることができ、より尊い共創が生まれるきっかけになるのではないでしょうか。
そして最後に、KOHさんはこう語りました。
「先人から、『深いこと、本当のことにはパワーが宿る』という言葉を聞いたことがあって。
それはつまり、逆に表面的なことや嘘には力がないということ。
これは本当にその通りだと思っていて。やっぱり理解することが、いちばんの愛の形なんじゃないかな」
▶︎より深い信頼関係に導くためのアクション
深く理解することから生まれる共振、共鳴、そして共創。
KOHさんの「ビジョンマップ」は、単なるワークではなく、人と人が信頼を築くための“地図”そのものなのかもしれません。
島の人事部では、KOHさんの協力のもと、参画企業経営者ひとりひとりのビジョンマップをWSで共有していっています。
これまで3人の方を対象に実践しましたが、そのたびに、聞き手側から出てくる言葉の熱量もますます高まる一方で。
「こうやって共創が生まれていくのか」と、その現場を見ていると圧倒される気持ちにさえなります。
こうした意図、目的、狙いで、これからも「ビジョンマップ」というワークを続けていきたいと思っています。
その都度、イベントレポートとして公開可能な部分は記事化していく予定なので、ぜひ、現場の熱量を感じ取ってもらえたらと思います。
Writer
ぽっぴん
滋賀県出身。
読売新聞で新聞記者として勤務した後、独立して現在はフリーのフォトグラファーでライター。関西を中心に色んな写真を撮ったり、文章を書いたりしています。好きな食べ物は「ばーちゃんの手作りカレー」。
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