こんにちは、島の人事部広報担当のぽっぴんです。
2026年9月29日、この春に島内企業に入社した新人たちを対象とした「合同新人研修」の最終発表会が開かれました。
多くの島内企業の新規採用者は1人や2人。つまり、同期がいない・少ない人たちが多いんです。
4月にスタートしたこの研修の目的の一つが、会社の枠を超えた「島の同期作り」。
半年間、一緒に研修を受けたり、一つのプロジェクトを推進することで、島くらしを共にする同世代の仲間ができたらいいな
そんな願いを込めて、企画・開催してきました。
そしてこの日は、そんな半年間の集大成を、新人たちが経営者たちに向けて発表する日。
読者の皆さんにも、半年間の彼らの成長ぶりを、ぜひ感じ取っていただきたいです!

目次
- ■ 「Cさんも喜ばせる」という、少し変わったミッション
- ■ 6人の新人たち
- ■心霊スポットで、相互理解。
- ■山に登って、関係性を深める
- ■新人育成の理解を深めるカードゲームをつくった
- ■ 講評:それぞれの発想に、それぞれの学び
- ■ 感謝とリスペクトを伝える
■ 「Cさんも喜ばせる」という、少し変わったミッション
今回の研修が掲げていたミッションは、
「自分と、チームメンバーと、第三者(Cさん)が喜ぶことをする」
という、少し変わったもの。
それは、単に「やりたいことをする」のではなく、
課題や悩みを聞き出した上で、その奥に潜む「価値観」を見つける。
それらの悩みや課題を解決した先に、
自分が、チームメンバーが、Cさんが、どうなっていたいのか。
何を大切にしたいのか。
そこに焦点を当てて、本当の意味で3人ともが幸せになることをする。
その大切さを学ぶ機会にしようというものです。

冒頭にもお伝えしましたが、島内企業では、新入社員の数は1人や2人のところが多く、社内に「同期」がいない若手社員が多いんです。
そこで、島内の新入社員を集めて研修をすることで、社会人としての基礎力を身につけるだけでなく、島での同世代の繋がりを生み出すきっかけにするのも、この研修の狙いの一つでした。
4月のスタートから、様々なワークや、経営者の失敗談を聞くトークセッションなどを経て、この日は、集大成となるプロジェクトの成果を発表。
新人たちは、2人1チームになり、もう一人第三者を交えて、3人の悩みや課題、やりたいことを共有した上で、全員がハッピーになれる企画を考えるというプロジェクトに挑んできました。
■ 6人の新人たち
研修に参加したのは、19〜25歳の新入社員たち。
会社も、学歴も出身地も違うメンバーが定期的に集まり、一緒に考え、経験を共有して関係性を築き上げていく様子は、とても有意義で尊いものに見えました。
では、ここから発表の内容を共有します!

■心霊スポットで、相互理解。
最初の発表は、タッキー(株式会社総合建築植田)とみっちー(ミツテック株式会社)のチーム。
Cさんに選んだのは、島の人事部イベント担当の「のぐう」でした。
タッキーは「非日常を体験したい、季節感を感じたい」
みっちーは「季節感を感じたい、リフレッシュしたい」
のぐうは「ダイエットがしたい、淡路島の解像度を上げたい、島内で若い世代との接点をつくりたい」
という、それぞれの理想を掲げて集合。


そんな三者三様の願いを重ね合わせ、たどり着いたのが「淡路島の心霊スポット巡り」。
舞台に選ばれたのは、横尾隧道(通称・旧五色トンネル)です。
なぜ心霊スポット?と一瞬、会場にはクエスチョンマークが浮かびましたが、理由がしっかりあるそうで。
心霊スポットでは非日常感を味わえる上、夏らしく、山の中なので運動にもなり、歴史あるスポットなので地域理解にもつながる、と踏んだから。
実際に訪れてみると、非日常体験も、夏らしい思い出も、運動の機会も、
そして地域理解も、狙いどおりに得られたといいます。
元々はタッキーの趣味である映画鑑賞から着想を得て、映画を見にいくという案もあったそうですが、打ち合わせを重ねていくうちに、ただ「見る」よりも「共に体験する」ことが大切なんじゃないかと気付いたそうです。

その言葉通り、「共通体験によってチームの会話が増えた」という感想も。
3人それぞれ違う願いを持っていたのに、全員が満足できる体験を考えたことが、単なるレジャーではなく、相互理解のきっかけになったと振り返ります。
「誰か一人が楽しいのではなく、全員が楽しめることを設計する重要性に気づけた」と話したタッキーは、今回の体験を建築の仕事に重ねました。
「土地の持ち主、施主、職人、それぞれの思いを一つの形にまとめるのが建築の仕事。間に入って、常にコミュニケーションを取り続ける必要があるなと思った」
みっちーも「会社では、一つの案件でも他部署との連携が必要。どの部署も満足できる、やりやすいシステムの構築が求められることの意味が体感できた」と、社内の変革期にある今だからこそ生きる学びを語りました。

■山に登って、関係性を深める
続いては、かずー(ミツテック)とサクマル(株式会社ビッグフューチャー/アルバトロスゴルフ練習場)のチーム。
Cさんは島の人事部プロジェクトマネージャーの「ありりん」。
かずーは「サーフィンがしたい」、サクマルは「ゴルフがしたい」、ありりんは「非日常を味わいたい」。
それぞれの願いから、非日常を味わいながら経験をシェアできることとして、南あわじ市の諭鶴羽山への登山を考案。距離にして5.6キロの道のりを、朝から2時間弱かけて登り切りました。

朝方から諭鶴羽山アタックを開始した3人。
地元の登山客とも一緒になり、自然と交流が生まれたといいます。
サクマルは当日寝坊した上、スマホが圏外で集合に苦戦したというハプニングを深く反省。それでも、登山中は会話が途切れないよう、積極的に雑談を心がけたそう。
登頂までずっと、一人アブに追われて小走りだったといいますが、頂上にたどり着けば360度の見晴らしに言葉を失ったとのこと。
「達成感があった。3人で汗を共に流し、共通の目的に向かって頑張る素晴らしさ、団結力を感じた」と話し、「時間を守ること、報連相、事前準備が自分には足りていない部分だと痛感した」と、改善点も率直に共有しました。

かずーは、「自分がマネジメント担当としてチームを組んで人を動かしたことがなかったので、とてもいい経験になった。指示したことを『できているだろう』と思って放置していたら、なかなかうまくいかないことがわかったので、これから後輩ができたときにはこの経験を活かして行動しようと思う」と話しました。
登山という、当初は、3人のうち誰も望んでいなかったイベントから、全員が楽しめ、学びがある交流を生み出した2人。
汗をかいて一緒に登った距離と時間だけ、関係性も深まったようでした。

■新人育成の理解を深めるカードゲームをつくった
最後は、にきちゃん(洲本市地域おこし協力隊)とガッツマン(ミツテック)のチーム。
Cさんは、ミツテックの教育担当の次長さんでした。
次長さんから出てきたのは、「新人との関わり方や、何を考えているのかが、わからない」という悩み。
そうした教える側からの難しさを聞いて、新人として同じように上司とのコミュニケーションに課題感を抱いていた2人が発案したのが、
企業の新入社員と教育担当者のコミュニケーションを考えるための「新人育成カードゲーム」。

新人の状況を示す「SITUATIONカード」、新人がその次にとるアクションを書いた「NEXTカード」、その背景を考える「WHYカード」、そのシチュエーションで教育担当者が取る教え方を記した「TEACHカード」という4種類を作成。
ゲームでは、カードで示された新人と教育者の状況や行動の背景を考え、自分ならどう教えるか・どういう行動を取るか・なぜその行動を取ったのかなどを話し合うことで、教育担当と新人が、自然な会話を通じてそれぞれの立場や考え方を知っていくきっかけをつくります。
正解を当てるのではなく、みんなの考えから新しい気づきを得られるような設計を大切にしたといいます。
面談のように対話の場をただ設定するだけではお互いに身構えてしまう。
だからこそ、「もっと自然に意見交換ができる方法はないか」と考え、ゲームという形にしたそうです。
当初は企業の教育担当者同士の意見交換会を企画していたものの、スケジュールの難しさや目的の練り直しを経て、新人理解と教え方の間をつなぐ教材を作りたいという考えに変化していったといいます。
2人が学びとして挙げたのは、ペアで動くことの重要性。
2人で役割分担し、責任を持ち合うことで、スケジュールが合わなくてもプロジェクトが進んでいったこと。
そして、課題を聞き、企画し、制作し、試し、改善するという一連のプロセスを経験できたこと。
研修の中だけで終わらせず、実際に使えるカードゲームとしてアーカイブできたことも、大きな収穫でした。

ガッツマンは「人によって言葉の解釈が違ったり、意味がずれたりすることがあるっていうのがよくわかった。だからこそ、自分の解釈をきちんと持った上で、人に意見を伝える練習にもなった。これからの仕事での会議や打ち合わせにもつなげていきたい」と振り返り、
にきちゃんは「最初は不安もあったし、スケジュールが合わなくて焦ったけれど、周りの反応や応援が糧になった。難しい状況や課題でも、本気でやろうと思えばなんでもできるんだという自信になった」と、これからに対する意欲をのぞかせていました。

■ 講評:それぞれの発想に、それぞれの学び
3チームの発表を聞いた経営者陣からは、それぞれにコメントが寄せられました。
ミツテック社長のトンさんは、にきちゃんガッツマンが作成したカードゲームについて「とても完成度が高い。中身が現実に即していて、考えられている。何より、ここにたどり着くまでにそれぞれの困りごとを深く研究している姿勢がすごい」と評価。
登山チームには「密度の高いコミュニケーションの機会を作った。価値観や特徴を掴み合えたことに意義がある」と話し、心霊スポットチームには「そこにたどり着いたのは若い発想で面白い。そこからお互いの価値観をぶつけ合うところに行き着いたのが面白い」と語りました。

ビッグフューチャーの大ちゃんは「時間を共にして感情が入ると、一緒に動けるようになる。それは組織にも当てはまる」とタッキー・みっちーのチーム感を評価。
かずー・サクマルチームには「うちのサクマルくんをかずーがよく引っ張ってくれた。目的の根っこまで話し合ったからこそ、みんなが登山に納得できたんだと思う」とお礼。
にきちゃん・ガッツマンチームには、「会社にできる完成度。にきちゃんの熱量がガッツマンにも伝わって、よりモチベーションが上がったんだと思う。いいチームでした」とコメントしました。

総合建築植田の植田さんは全体を通して、
「三者三様の発表でよかった。3人が喜べるものという一つの目的に、一人ひとりが真摯に向き合ったことが原動力になって、プロジェクトを完遂できたんだと思う。世の中、できそうでできないことも多いなかで、大事にしてほしい成功体験。これからのキャリアでも、そういう『同じ方向を向いて取り組んでくれる仲間』を一人でも多く見つけて、事業を動かしていってほしい」と締めくくりました。

■ 感謝とリスペクトを伝える
発表のあとは、「相互サンクス」の時間。
一緒にプロジェクトを走り切ったからこそわかった強みや自信を持ってほしいこと、救われた姿勢や言葉を、付箋に書き出して伝え合いました。
内容は、メンバー同士だけの秘密ということで、ここでは触れません!笑
ですが、彼らの表情から、その熱く、深い空気感を感じてもらえるはず。





最後は、会社ごとに分かれて経営者と新人が語り合う座談会も。
サクマルは、「普段は年上が多いので、同い年くらいの人とつながれてよかった。人間として完成度の高い他社同期と自分との差を感じられ、いい意味で危機感を抱いて、成長したいという意欲につながった」と大ちゃんに報告。
タッキーは、「会社の外で一緒にプロジェクトができてよかった。冷静さという、自分では思っていなかった強みを言われて意外だった」と話していました。
ミツテックのトンさんから新人3人には「この研修に参加させた狙いは、社会人としての基礎を学んでもらうことだけでなく、地域内での同期のつながりを持ってもらうこと。新人が安心できる場を持って欲しかった。
同期入社のつながりというのは、他にはない深いものがある。いまだに僕も同期とのつながりは大事にしている。みんなも、ここでできた繋がりをこれからに活かしていってほしい」とメッセージ。
他の経営者から新人にも発表の感想やエールが送られ、普段とは違った環境だからこそ出てくる言葉に、互いに頷き合いながら、まさに、理解を深め合っている姿が印象的でした。

■ おわりに
4月から半年間、それぞれ違う会社で働きながら、島の同期として過ごしてきた6人。
心霊スポットも、登山も、カードゲームも、切り口はまったく違うけれど、その根っこにあったのは「誰かのために」という気持ちと、それを実現するためのコミュニケーションでした。
島の人事部が目指すのは、採用や入社をゴールにすることではなく、島で働く一人ひとりが安心して挑戦できる土台をつくること。
ここで生まれたつながりが、これからの仕事にも、島での生活にも、そして島の未来にも、じわじわと効いていくはず。
みんながこれからどんなふうに成長を遂げてるのか、とても楽しみです。
きっとまた、会いましょう!!
新入社員を預けてくださったトンさん、大ちゃん、植田さん、
そして参加してくれた6人の新人のみなさん、
本当にありがとうございました!!!
合同新人研修は、来年度も開催したいと考えているので、ご興味ある島の経営者さんはぜひ、島の人事部にお問い合わせください◎
✉️メールアドレス koho.shimanojinjibu@gmail.com


Writer
ぽっぴん
滋賀県出身。
読売新聞で新聞記者として勤務した後、独立して現在はフリーのフォトグラファーでライター。関西を中心に色んな写真を撮ったり、文章を書いたりしています。好きな食べ物は「ばーちゃんの手作りカレー」。
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